005 雪かき合戦 コラム017(2001/01/15)より 雪が降る季節になってきた。子供の頃はお気楽な毎日を過ごしていたので、雪が降ったりすれば何ともいえずうれしい気分になったりしたものだが、大人になると(?)そうのんきなことも言っていられなくなる。私にとって雪が降ってくると、常に頭から離れなくなるのは、雪かきのことだ。 別に自分の生活だけに影響する場所の雪かきを自分の都合のいいときにやるのは、何も苦痛ではないのだが、問題は近隣の人たちと共有している場所の雪かきを誰が、いつやるか、ということなのだ。 困ったことに私の家の隣近所は老人ばかりである。ところが、なぜか年寄りに限ってやたらと早起きで、さらに雪かきが大好きなのだ。 夜から未明にかけて雪が降る場合が一番問題だ。近所の老人たちは、まだ陽が昇る前の真っ暗なうちから起き出して雪かきを始めるのである。私は夜遅くまで仕事をしているので、とてもじゃないが目があかない。しかし、夢の中にまで老人たちがガリガリと雪かきをする音が侵入してくるのである。これはまさに悪夢だ。・・・ガリガリ・・・ガリガリ・・・。 さらに彼らは体力があるわけでもないので、この・・・ガリガリ・・・ガリガリ・・・が、いつまでもいつまでも終わらないのである。そして、私が出勤する時間帯になるまで彼らは家の中に決して入ろうとしない。当然、顔を合わせることになるが、そのころには雪は全て片付けられているのだ。雪かきをしていないので恐縮している私に対して、彼らは顔に勝ち誇ったような笑みさえ浮かべている。そして、「わたしら年寄りに、こんな力仕事をやらせて、若いおまえは手伝いもしないのか。」という表情をするのだ。 もう、我慢できない、と思った私は、次に雪が降った夜、仕事が終わって普段なら寝床につく深夜に気を奮い起こしてひとりで雪かきをした。 「ざまあみろ、クソジジイ、クソババアどもめ、あんたらが目を覚ます頃には、きれいさっぱり片づいていて、気抜けさせてやるぞ!」と思いながら・・・。 次の日の朝、玄関先でスコップを手にぼう然と立ちつくす老人たちの前を、私は意気揚々と通りすぎた。本当は睡眠不足でぶっ倒れそうだったが・・・。 その3日後、天気予報は的中し、夜8時頃から再び雪が降り始めた。今晩も残業で帰りは深夜になりそうだった。 「よおし、今晩もやってやるぞ。夜中のうちに雪かきを済ませて、老人どもから生き甲斐を奪ってやろうではないか!!」そう息巻きながら私は家路へと急いだ。本通りから我が家の玄関へと続く小路を曲がった瞬間、私は目を疑った。時刻は深夜0時半。 なんと、となりの爺さん、雪かきしてた!! |
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