009
カツラ
コラム184(2004/09/20)より

 どうでも良いような話だが、私の家内はカツラの人をすぐに見破る。そんな家内と一緒になって八年以上にもなるので、私まである程度カツラを御愛用になっている人がわかるようになってしまった。おかげで困ることも多々ある。特に困るのは心の準備が出来ていない状態で突然カツラ御愛用の人と会うことになってしまう場合である。家内はそんなとき、平然として普通にその人と話すことが出来るそうなのだが、私はダメなのだ。視線を上に上げてはいけない、と思えば思うほど、何かの拍子にチラッと頭に目が行ってしまったりするのである。心の中で「いけない、いけない」と思うと今度は話しながら自分のおでこに手をやったり、髪をかき上げたりしてしまい「ああっ、こんなことをしちゃまずいよ」と思えば思うほど失態は続くのである。相手が挨拶の度に頭を下げるのに自分が妙に焦ってしまったり、言葉の中で「かぶせる」とか「ずれる」という言葉を使いそうになって慌ててしまったりして散々な状態だ。本当に全身が汗でびっしょりとなってしまうくらい大変なのである。過剰反応し過ぎだろうか。



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